季節も夏となり、水温の上がる時期となりました。 「水は入っているのだけれど、水温が上がってしまいオーバーヒートしてしまう」というお客様の車を修理する事になりました。 実際に預かり、「何故、水温が上がってしまうのか?」という事を調べる事から始めました。

まず、クーラントを確認すると、確かに量は入っているのですが、錆びで真っ赤になっている状態です。 これだけクーラントが赤くなっていれば、当然ラジエター内部等は錆びだらけでしょう。 実際に水温を上げて確認しても、水がシッカリ回っていません。 そこでラジエター、ロアホース等を外していきます。 写真は、その車輌から取り外したラジエターとロアホースです。 ホース、そしてホースが繋がるラジエター側も赤く錆びが出ているのが解ります。 しかし、これがただの錆びではありませんでした。


ラジエター側をアップでみてみましょう。 ここは、ロアホースに繋がりクーラントが流れる部分です。 しかし、ごらんの通り。 錆びと汚れが粘土質に固まり、通路の2/3を塞いでしまっています。


続いてロアホース側です。 こちらにも同じ様に固まった錆びがギッシリと詰まっています。 これでは幾らクーラントが入っていても水が流れるスペースがありません。


確認の為に、ほじくり出してみました。 完全に固まっていて、これだけ出してもまだ奥には固まりがいます。 ここまで詰まってしまうと、水を流して洗浄するだけでは取れません。


当然、ラジエターの内部も真っ赤です。 良くここまで錆びが出ている状態で使っていたと思うほど。 当然、ラジエター、ロアホースは交換です。

何故、こんなになってしまったのでしょう。 まず、クーラントが1つの原因。 クーラントには凍結を防止する作用と、錆びを防止する作用があります。 しかし、安売りのクーラントには凍結防止剤ははいっていても防錆剤は入っていない物が多いです。 この方は安いクーラントを使用している上に、量が減るとドンドン水だけを足していました。 その結果、錆びが出てしまったと思います。 また、クーラントは定期的に交換しないと効能が落ちる上に、水の流れる通路内の汚れが取れません。 ただ水を回す清掃だけでも取りきれず、高圧やスチームを使用して洗浄しないと汚れが溜まってしまいます。 最終的に錆びと汚れが固まり通路を塞いでしまうのです。 更に悪いことに、水の流れが悪くなり水温が上がると、内部の汚れが剥がれ落ち、ますます詰まらせてしまいます。 そしてオーバーヒート、最悪の場合はエンジンを壊してしまうのです。 定期的に清掃をし、しっかりとクーラントを入れ替え、水がキチンと回るミニはオーバーヒートはしません。 「ミニって直ぐオーバーヒートするんでしょ?」という車輌は、ただの整備不良です。 水回りは定期的に点検しましょう。 みなさんのミニは大丈夫ですか?