使い過ぎでしょ

ぶらっと遊びによってくれたお客様の出来事。 毎日、ミニに乗っていて、最近、水漏れした形跡も無いのにクーラントがかなり減るとの事。 実際に、お客様が色々と確認はしたそうなのですが、何処からも水が漏れている形跡はなし。 何日か前に、念のためにとラジエターキャップは新しくしてみたそうですが、一向に変化なし。 「じゃ、ちょっと点検してみましょう」という事になり、車輌を確認してみました。


ラジエターの役割はみなさんも御存知ですよね。 エンジンの熱を吸い取り熱くなったクーラント(冷却水)を冷ます役割をしています。 ラジエターの上から下へクーラントが流れるときに、熱を放出して温度を下げているのです。 水の漏れる原因として考えられるのは、ラジエターに穴等が開いてしまいそこから漏れる、ラジエターに繋がっているホースの痛みで漏れる、それと、上記で交換しているラジエターキャップが劣化して漏れるというパターンが比較的に多いですね。 しかし、この車輌は、何処からも漏れた痕がありません。 では、原因は一体何なのでしょう?


そこで、クーラントの流れを確認すると、クーラントが流れていない事が判明。 これでは、ラジエターにクーラントが流れない為、温度が下がりません。 ここに原因があったのです。


クーラント(冷却水)は、エンジンの熱を下げる為にありますが、エンジンは逆に温度が低すぎても調子が出ません。 そこで、一定の温度に温まるまで、クーラントを冷やさないような仕組みとなっています。 クーラントを冷やすのは、上記に書いたラジエターなのですが、設定温度になるまで、ラジエターにクーラントが回らないようになっているのです。 それが左記のサーモスタット。 つまり温度で開く弁が付いているのです。 通常は弁が閉じていて、設定温度(何種類かあります)になると弁が開き、そこで初めてラジエターにクーラントが流れる仕組みです。


つまり、弁が開かない限りクーラントの温度は下がらないという事。 今回の原因です。 温度が下がらない為に、クーラントはどんどん熱くなり、それにより体積も増えてきます。 鍋でお湯を沸かすと体積が増えますよね。 それと一緒です。 エンジンの中は密閉されていますから、体積が増えた分、どんどんと圧力が高くなってしまいます。 そのままでは、どこかが破損してしまいますから、一定の圧力まであがるとラジエターキャップのバネが縮み、圧力を逃がすようになっています。 そして圧を逃がすのと同時に、増えたクーラントも外に排出。 その分が、どんどん減っていたという状態でした。


こちらが、問題のサーモスタット。 中は蝋が入っており、熱で溶ける仕組み。 すると弁が開いてクーラントがラジエターに流れて冷やされるのですが、ここまで劣化したこの状態では開きません。 まぁ、寿命ですね。 よくここまで使いましたという感じです。 サーモスタットは消耗品であり、定期的に交換が必要な部品でもあります。 たかが・・・と思いますが、サーモが開かないだけでオーバーヒートして、エンジン本体を壊す可能性もあるのです。 とくに、暑くなってくるこの時期は要注意。 あなたのサーモは、ちゃんと動いてますか?