Vバンク?

エンジンオーバーホール時の出来事です。 1275Sエンジンなのですが、現状で+50サイズのオーバーサイズピストンが入っており今回のオーバーホールで+60サイズにボーリングでした。 いざエンジンを降ろし、オーバーホール作業を始めボーリングの段階まで進んだ所で事件が発生しました。 では、何が起きたのか?詳細を紹介したいと思います。

+50オーバーサイズというと、今では少し珍しい・・と、思われる方も多いでしょうか? 昔は+10、+30、+50という奇数サイズのオーバーサイズもよくあったんですね。 今回、そこは問題ではなかったのですが・・。 では、どこが問題だったのでしょう。


ボーリングを行おうとシリンダーを測定しているときに問題が発生。 何が?というとシリンダーそのものが傾いてボーリングしてあるんです。 前回のボーリング時にしっかり固定していなかったのか?それとも傾いて固定していたのか?原因は定かではありませんが、とにかく斜めにボーリングしてあるのです。 この状態では+60サイズにボーリングが不可能。 さて、こまったな・・。


左の写真の「正常」側ように、エンジンに対して本来は真っ直ぐに穴が開いていなければならないのですが、このブロックは「異常」側のように傾いて穴が開いているのです。 本来は真っ直ぐ開いているのに斜めにしてしまっているのです。 明らかな人的ミスですね。


最終的にオーバーサイズで真っ直ぐにボーリングを行い、スリーブ(筒)を打ち込んで対応することとなりました。 どうしてもシリンダーを真っ直ぐに加工するためにはそれがベストと判断しました。


完成したブロックがこちら。 左が一番シリンダーですが、シリンダー内に入っているのはクリアランスを見るために入れたピストンリングです。 現状ではバッチリ仕上がりました。 今回はスリーブで対応できる状態だったのでよかったのですが、もう少し曲がっていたら・・・、+60サイズで曲がっていたら・・・と考えるとまだ良かったよ思います。 しかし、V型エンジンじゃないんですから、しっかりと加工してもらいたいですね。 内燃機屋さんも少なくなり、なかなかしっかりとした加工を行うところも少なくなりました。 それもあり、当店では自社で加工を行うようにしているのです。 現在、エンジンも組み上がりとても調子よく仕上がったと思います。