バラバラ

最近、ギアの入りがとても悪くなり、場合によっては全然入らない・・というお客様の修理が入りました。 現状で確認する限り、とりあえずシフトチェンジは可能。 とりあえずオイルを抜いてみるとそこには・・。

ちょっと見難いかもしれませんが、オイルドレンボルトの先端のマグネットに付いていた金属片。 これだけでは無く、もっと多くの金属片が出てきました。 金属が出てくるということは中で何かが破損しているという事。 ギアが入らない原因もそこにあるでしょう。 ドライブシャフトなどを切りフリーにした状態で確認していた時にギアが動かなくなる症状が発生。 4速ギアから抜けなくなるという状態が発生したりしました。 しかしこれ以上、外からの確認は不可能。 エンジンを降ろし分解・確認作業となりました。


こちらがバラバラにしたミッションです。 やはり原因は中にありました。では何処がだめだったのでしょうか。


左の写真、丸いのは1stモーションシャフトと3rdモーションシャフト(1速ギアとそこにささるシャフト)の間に入っているローラーベアリングです。 本来は左側のように丸い形をしているものですが、このベアリングがバラバラとなり、バラけた部品がミッション内部に回っていたのです。 

ベアリングがバラけた原因を推測してみると、過去にオイルが1リットルぐらいしかない状況で長時間の走行(高速道路も含め)をしてしまった事があり、その時にベアリングにダメージがあった可能性が1つ。 ただし他のベアリング等が焼けている感じはありませんので、焼きついたという可能性は少ないと思われます。 しかし少ないオイルで切粉などが出てダメージを負ってしまった可能性はありますね。 製品不良の可能性もありますが、どちらにしろオイルが少ない状態で負荷がかかっているでしょう。 対策としてはオイル管理をきちんと行なうこと。 特に高速走行前や走行後など量のチェック、そして3000kmの距離をしっかり守りミニに見合う性能のオイルをしっかり入れるというのが大事ですね。 普段、簡単に出来るオイルチェックですから、手を抜かずにしっかりと行いましょう。


さて、続きのパーツを見ていきましょうか。 真ん中のシャフトが3rdモーションシャフトです。 この先端にベアリングは付いています。 よく見るとシャフトの先端がガリガリに削れているのが解るでしょうか。


そして上のシャフトに刺さるのが左の1stモーションシャフト。 やはりベアリングが付く内側がガリガリに削れています。


その他のギアを見てもかなり削れた切粉が付着しています。 左のシンクロリングが入るスリーブ内にもかなり回っていたようです。 内部で大きなパーツが噛みこんだ後もありますので、その場合ギアチェンジ操作がしにくくなったり不可能になったりしていたのでしょう。


ミッションケース内部もかなり切粉だらけです。 昨日、今日で割れたというような状況ではなく、しばらく悪い状態で走ってしまったという感じかと思われます。 内部はきれいに洗浄すればケースそのものにダメージはないのでケースの再利用は可能です。 しかし、ギアはかなりの数にダメージがあり、バラバラでパーツを揃えるのか、思い切ってクロスミッションを組んでしまうのか、選択肢としては悩む所ですね。 思い切ってクロスミッションを入れたほうが楽しく走れるようにはなりますね。 さあ、ビシっと組んで楽しい仕様に仕上げましょうか。