12ヶ月点検でお預かりした車での出来事です。
始めてのお客様だったのですが、ハンドルにガタがあるとの事。
点検で預かる事になっていたのですが、確認してみてビックリ!
では、どのような状況だったのか説明しましょう。
まず、下の写真をご覧下さい。

これが何の部品だか解りますか?
ステアリングシャフトと言って、ステアリングと
ステアリングラック(タイヤを曲げる機構部)を繋ぐ部品です。
ステアリングを回すとこのシャフトが回転し、ラックに力を伝えます。
簡単な図を下に紹介します。

図の赤い部分がステアリングシャフトです。
では、何処が悪かったのかと言うと・・・

1枚目の写真の赤丸で囲んだ部分のアップです。
この穴の中に、ステアリングラックのシャフトが刺さる形になります。
上の写真の赤丸の中を良く見て下さい。
うっすらと溝があるのが解るでしょうか?
本来、この部分にはギザギザの溝が切ってあります。
ラック側にも同じ様に溝があり、それが噛み合って力を伝えるのです。
その溝がすっかり削れてしまっています。



では、この溝が無くなるとどうなるのか?説明します。
ステアリングを回した力が、溝が引っ掛かる事によってラックに伝わります。
溝が無いということは、いくらステアリングを回しても空回りしてしまう。
結果、舵が切れないと言う事になります。
今回は、辛うじて引っ掛かっていたので、何とか舵は切る事が出来ました。
しかし、場所によっては、ステアリングがガクッっと空回りしていました。
完全に滑ってしまえば、舵は切れません。
これが交差点やコーナリング中だったら・・・と考えると恐ろしくなります。



何故、削れてしまったのか?
原因を推測してみると、
1.ステアリングアジャスターを適当に付けて、
シャフトの付け根に無理な角度が付いてしまった。
2.シャフトの中のカラーが割れ、ガタが出ていたのにそのまま乗っていた。
3.足回りをぶつけ、大きな力がかかってしまった。
この他にもいくつか原因は考えられます。
通常の使用で、キチンと整備を行っていればまず起こりえない症状です。
ガタがあるのにそのまま、適当な整備&部品取り付けなど、
いい加減な処置を行うと危険です。
また、シャフトや中のカラーなども消耗品です。
小まめに交換する部品ではありませんが、時々確認はしましょう。
車にとって曲がらないという事は致命傷ですから。