MK−1の850ccエンジンと比べると、150cc排気量の増えた1000ccエンジンはゆとりある走り。 街中でも、峠の登りでもグイグイ走っていける。 サルーンより98mm延長されたホイールベースのお陰で、ゆったりとした乗り心地も特徴。 リアシートの足元もサルーンに比べると広く、リアに荷物もかなり積むことが可能。 リアシートは倒してフルフラットにもなり使い勝手はかなり良い。 トラベラーの名前が示すとおり、家族で旅行に行きたくなる。 4シンクロの4速リモートミッションは、ギア比と相まってつながりも良く、上り坂でもグイグイと登って行く。 特に3000rpm〜5000rpmをキープして走れば、想像以上に良く走る。 ブレーキは、4輪ドラムブレーキからフロントをディスクブレーキに変更。 サーボ付きである事もあり、十二分なストッピングパワーがある。 とても製造から34年経っているとは思えないバランスの良い車輌である。



オーバーホールされた1000ccエンジンは、扱いずらさは皆無。 始動性も良く、水とオイルの管理をしっかりと行っていれば、「オールドだから・・・」と気にする事は少ない。 フロントディスクブレーキのお陰で、ストッピングパワーは申し分無い。 60km/hを越えたスピードからのブレーキングにドラムブレーキとの差が出る。


リアのスペースは想像以上に広く、4人家族くらいであれば余裕で荷物が積み込める。 シートを倒しフラットにすれば、かなり大きい物も積める。 キャンプ道具や釣り道具などを積んで出かけるにはピッタリ。 ステーションワゴンと言うには小さいかもしれないが、ユーティリティ性は高い。



今後の課題としては、Hi−Lo、そしてショックは交換したい。 レストア後間もないのでラーバーコーンは経たっておらず、車高のバランスは取れているが、年数が経ち車高が崩れる前にHi−Loを装備したい。 また、ショックもむやみに固めるのではなく、ARCやビルシュタインなどのストロークのある物や、GAZなど調整式で乗り心地の確保出来る物をお勧めしたい。 機関に関しては、フルレストア・オーバーホール済の為に特に不安はないが、夏場の渋滞や登り坂をガンガン登る機会の多い場合は、出来れば電動FANを装備したい。 


木枠付きの車輌や、オールド・ミニに乗ろうと思う方が気になるのは保管状況や普段の手入れの仕方だと思うので、簡単に紹介したい。 保管場所は屋根付きの車庫があればベストだが、露天で駐車しなければならないようであれば、ボディカバーは最低でも使用したい。 そして晴れた日、特に雨の後は出来るだけ走り、ボディの水分を飛ばしたい。 カバーは防水には役立つが、掛けっ放しは中に湿気が溜まってしまうので注意。 木枠部分については保管・使用状況に応じて4ヶ月〜半年に一度ニスを塗り直してあげれば腐食防止になる。 可動部分やボディの合わせ目の隙間にCRCなどをかけてあげ、錆び防止を行うのも有効。 高年式のミニと比べて、少しだけ気を使って欲しい。




トラベラーに乗られる方は、是非、このユーティリティ性を生かして欲しい。 キャンプやピクニック、そしてアウトドアがピッタリ似合う車輌。 決して飾り物としてはでなく、乗って走って楽しんで頂きたい。