850ccMK−Iの進化版である998クーパー。 個人的な趣味と思いを付け加えれば、数あるミニのバリエーションの中で、一番トータルバランスの取れたグレードではないかと、何時も思う。 バランス良くチューニングされたエンジンは決してピークパワーが特筆できる物ではないが、足回りとのバランスは良く、小気味良く、そしてパワーを十二分に使いきって走れるミニ、それが998クーパーではないだろうか。



トータルでライトチューニングの施されたシリンダーヘッド、SU1・1/4ツインキャブレター及び吸排気系を、当時のスタンダードである850ccから変更し、底上げを行っているエンジン。 良くセッティングを出したこのパワーユニットは3000rpm〜5500rpmとストレスなく吹け上がる。 決して異常な速さではないが、アクセルに対するレスポンス、そしてフィーリングがとても気持ちよい。 機関、補器類、クラッチ廻りと一通り手を入れているので安心して回していける。 まさに絶妙な味付けといえるだろう。



気持ち良く回るエンジンに合わせてトータルでセットアップを行った足回り。 効きの弱い7インチDISKブレーキは7.5インチDISKへの変更、プロテック製アルミショック、ネガティブキャンバーを装備。 ステアリングラックや消耗品もキッチリと交換し、足回り・ブレーキ回りともに不安なく使える。 そのフィーリングは?というと、コーナリングを異常に楽しめる!! 高年式のミニと比較するとMK−Iはサブフレームがリジット(ボルトによる直付け)の為、どちらかというとオーバーステア傾向があり曲がりの良さがあるのだが、更にそれを強調してる足回りとなった。 「ミニは良く曲がる」 この言葉が実感できる車体である。



車、特にミニは凄い馬力を出せば楽しいというものではなく、トータルにおいてバランスの取れている事が楽しい事、そういった基本の部分に気付かせてくれる車輌。 乗って、走って、操って、全ての事が楽しく乗れる車輌である事には間違いない。 本当にバランスのとれた998クーパーは「楽しい」の一言だ。