何と実走36000km、1オーナーというキャブクーパー。 段々と程度の良いキャブクーパーが少なくなってきた中で、やっと手に入れてきた1台です。 エンジンはまさに当たりが付いて、今が絶好調。 吹け上がりも軽く、ベストな状態にあるのですが、残念な事に外装に傷が。 どうやら悪戯されたようで、ドア、トランク、フェンダーと傷付いていました。 そこで、外装をリフレッシュして仕上げる事にしました。 それでは、作業の様子を紹介します。

今回、外装はオリジナルと同色で仕上げます。 このキャブクーパーのカラーはクイック・シルバーと呼ばれるもので、キャブクーパーにしかなかった色になります。 また、クイック・シルバーはキャブクーパーの中でも販売台数が少なく、トータルで400台前後しかない希少色でもあるのです。 まずは全体を見回し傷のチェック。 そして外装関係のパーツを外していきます。 下左の写真は、左リアフェンダーですが、ここの傷が一番大きくありました。 傷を取る為に塗装を削り落としていきます。 銀色に削れている部分は、塗装が剥がされ下地の鉄板が出ている状態です。 下右の写真ではドアを中心に傷を拾い終わり、パテ(黄色い部分)が盛られた状態。 この後、極限までパテは削り、なるべくパテが無い状態にしていきます。


左の写真は作業前のもの。 赤線で囲んだ中がフェンダーの傷。 写真では解りにくいですが、傷自体の深さもあり、多少のヘコミもある状態。


オリジナルカラーで外装を仕上げるのですが、いくつかの変更点も加えます。 まず、外装を仕上げるにあたり、オーバーフェンダーを外しフェンダーレスで仕上げていきます。 何故、フェンダーレスで仕上げるか?というと、オーバーフェンダーを留めるビス穴は全部で20箇所あり、外装を仕上げる時に埋めてしまった方が良いからです。 後でフェンダーレスに仕上げようと思うと、この20箇所の穴を埋め、4枚のフェンダーを塗装しなければなりません。 逆にフェンダーレスで仕上げておけば、オーバーフェンダーを付けたくなった時に穴を開けるだけで済むからです。 左下の写真はオーバーフェンダー用の穴を溶接で埋め、更に研いでいる段階のもの。 また、この車輌はオーナーの要望でフェンダーミラーを取り付けますので、ドアミラー用の穴も埋めてしまいます。 下右がドアミラー用のビスを抜き、穴埋めを始める段階の写真です。


フロント側も見てみましょう。 フロントフェンダーも、リアと同様にオーバーフェンダーのビス穴を埋めます。 左下の写真では、溶接による穴埋めは完了し、仕上げ用にパテが盛られています。 実際、穴埋めというと簡単な事のようなのですが色々な方法があり、仕上げ方により耐久性が変ってきます。 穴を塞ぐ訳ですから、穴の位置に鉄を足さなければいけません。 しかし、中にはアルミテープで穴を塞いだり、パテを厚く盛りパテだけで塞いだりしている車もあります。 そのようなやり方は問題外。 当然、強度が出るわけも無く、時間と共にパテが剥がれたり、ヒビが入ってしまったりするのです。 穴はシッカリと溶接で埋め、極力その時点で平に仕上げ、パテは最終的な細かい傷を拾う為だけに使用します。 そうする事で耐久性もあがり、永い期間キレイな状態が保てるのです。 一番上の作業前の写真を見ると、この車輌にはフォグランプが取り付けられていました。 しかし、外装を仕上げるに当たり、フォグは取り外します。 下右の写真は、フォグランプ用に空けられた穴を埋めたもの。 もし、フォグを取り付けたくなれば、穴を開けずに付ける方法もありますし、また、穴あけはいつでも出来ますからね。


これが問題のフォグランプ。 赤矢印のステーを固定する為の穴が片側2箇所空けられている。 また、穴あけも位置が上手く決まらなかったらしく、何度か開け直している様子。


おなじくフロント側、右フェンダーです。 ここはヘコミがあり、まず板金でキレイに修正。 同じくパテは最小限に。 また、ルーフにも軽いヘコミがあり、こちらもキレイに修正します。


こちらも作業前。 赤線の中にヘコミがある。 軽く何かにぶつけてしまったのでしょう。 フェンダー全体には歪みは全く無いので、この部分を板金でキレイに修正する。


ここで、エンジンをちょっとだけ紹介しましょう。 キャブクーパーに関しては何度も紹介していますが、1300ccエンジンとして完成度も高く、走る事が非常に楽しくなるエンジンです。 この車輌は実走の少なさからエンジンルームを見ても、とてもキレイな状態。 エンジン本体というのは、清掃でキレイに出来ますが、ゴムのホース類やエアコン関係のホースなど、痛みの少なさから長時間熱にさらされていない=走行が少ないという事が解ります。 もちろん調子も絶好調。 永く楽しんで頂けるでしょう。

まだまだ、作業は始まったばかり。 これから驚くほどキレイに仕上げようと思っています。 現在も作業は行っていますので、随時紹介していきたいと思います。