強化フォークレバーへの変更

クラッチペダルを踏むと油が押し出されピストンを押し、その力でクラッチを切るという動作を行なっているのですが、強化クラッチを組んでいたりすると押し出す球のの部分が破損する場合があります。 最近では硬いEN24鋼を使った強化タイプの物(写真、上の物)が発売されており、今回、強化タイプの組み込みを行なったのですが、すんなり行かない部分もありここで紹介したいと思います。

まずはクラッチの仕組みから。 クラッチペダルを踏み込む事により油が押し出され@のレリーズシリンダのピストンが押し出されます。 それによりAのフォークレバーが外に押されて梃子の原理でクラッチの機構を動かしクラッチが切れるという仕組みです。 今回の問題はAのフォークレバーの部分です。


左の写真、先端の球の部分が磨耗する、または強化クラッチなので踏力が強くないといけない場合に付け根から折れてしまうというトラブルが発生します。 ここが磨耗、折れてしまうとクラッチが切れないという症状となります。 上の強化のレバーと下の純正レバーを比べると削り出しはやはり強化の方が丁寧ですね。 しかし、ここに1つの問題がありました。 この二つ、並べてみても同じに見えるのですが、微妙に先端の球が付いている部分の角度が違うんです。 重ねるとほんの少しなのですが、強化の方が真っ直ぐになっているイメージですね。 ノーマルの球2/3くらいの位置にいる感じです。 そのために、せっかく強化のレバーを組んでも球が減っている時のような感じになってしまいクラッチの切れが良くありません。 多少の調整は効くのですが、調整で誤魔化すよりは対策パーツを作ってしまおうと考えました。


左の写真のロッドが@のレリーズシリンダとAのフォークレバーを繋いでいる部品です。 上のフォークレバーの球位置が違う為、レバーの長さを変更し球位置が変更になった分を補正していきます。


プッシュロッドを2つに切断し、旋盤にてネジを切るベース部分を削り出しします。 そしてナットにピッチを合わせネジ山を作成。


ナットをはめるとこんな感じ。 左右を連結し長さを調整後に薄い方のナットで固定できるようにしました。 寸法を測り調整。 その後車輌に取り付けて動作確認OKです。 フォークレバーの素材も硬くなっていますので、当分ここに関してのトラブルは気にしなくて大丈夫でしょう。 それにしてもまさかの落とし穴でした。 工作機械から何からありましたのですぐ対応できましたが、現地で交換となっていたらすんなりいかない所でした。 事前に調整ロッドを作成しておけばすばやく対応可能ですね。 こういう加工作業もお任せください。