ウッドトリムリペア作業

カントリーマンの極初期のみ生産されていた室内にフューエルタンクが設置してある希少なアーリーモデル。 過去にレストアを行っているエクステリアですが、年数ともに若干の劣化が見られます。 今回、少し手を入れて部分的なリフレッシュを行います。 ボディそのもののコンディションも良く、ウッドトリムは黒く変色していたりもありますが木そのもののコンディションも良いという内容の為、ウッドトリムは外さずにリペアをする事に決めました。 今回のリペアにあたり、ウッドの得意な方に専門的な技術で仕上げていただくことにしました。 今付いているウッドのリペア作業にてプロの技術の勉強を・・という試みもあります。 それでは、作業について紹介したいと思います。

まずは現状の写真から。 この車輌は保管されていた時間も長く、ウッドの表面は乾き若干の変色が見られます。 貼り合わせている面の剥がれなども見れますね。 しかし、雨ざらしで外で保管されていたのでは無かった為、ウッドそのものの腐食はほとんどありません。 ウッドが腐食してフカフカになってしまうと簡単な補修では済まないのですが、今回はそれが無かった為に現在の状態を生かしながらリペアを行うことにしました。


ウッドトリムの黒く変色して見える部分は木の表面にカビが発生している状態な為です。 表面が換装して荒れている部分も
ありますので、面の補修およびカビ取りも含めてサンドペーパーで丁寧に磨いていきます。 もちろん、すべて手作業で行っていきます。


その後、ウッド用のカビ取り剤を希釈し、細かい木目に入り込んだ部分を脱色していきます。 こちらも手作業。 ウッドを痛めないように一気に行わず丁寧に作業を進めます。 右の写真は表面の研ぎと脱色がある程度できた状態の物。 この写真で見るだけもウッドの色合いが全然違うのが解りますね。


どうしても年数が経つとウッドの経年変化で反りが出てきたりして、接着部に隙間が空いてきます。 この隙間を埋めるために接着剤を厚塗りしたり木工パテで埋めている場合が多いですが、その場合どうしても塗料の色も乗らなかったり、パテが経年変化で割れてしまったりというのが多いのも事実です。 今回はそういうことも含めて永い目でみて良い状態を保つ為に専門的にお願いしました。 穴埋めのダボがダメになっている部分は造りなおしていきます。(左の写真) 隙間が大きい部分に関しては先ずは埋め込む板をクサビ状に加工し作成。 ここはやはりプロの技ですね。(右の写真)


隙間に接着剤を流し、先ほど作成した板を打ち込んでいきます。 ウッドトリムって見れば見るほど複雑な形状をしており、前後方向にも左右方向にも真っ直ぐじゃ無いんですよね。 きっちり合わせて埋めるために分割で作成して打ち込んで増す。


両サイドともに板の打ち込みも完了。 余って飛び出してる部分の研磨と表面の仕上げ、そしてこの後に行うペイントに向けてマスキングを丁寧に。 これも真っ直ぐじゃないので大変なんですよね。 その後、表面の最終仕上げを行います。


ウッドその物のリペアは完了。 ここで保護の為の塗装に入ります。 昔はウッドトリムを保護する為に表面にニスのようなものを塗りコーティングして水が入らないようにするという方法が主流でした。 しかし、その場合は逆に中に入った水分が抜けないことにもなり、内部から木がフカフカになってしまうのも多かったんですね。 現在では良い防腐剤や塗料も出ており、表面をコーティングしてしまうのではなく木に染み込ませる形で木本来の呼吸を妨げずに保護する方式の方が良いと思います。 今回選択しているのもそのタイプの塗料です。 まずは一度目の塗装。 これを乾かし表面を研いだ後に2度目の塗装に入ります。 この状態でもキレイに仕上がって見えますね。 これからの仕上がりが楽しみですが、現在天候が悪い為に乾燥待ちとなっております。 完成しましたらまたご紹介いたしますので、もう少しだけお待ちください。

以下、追記です。


乾燥も終わり、表面を研いで軽く仕上げた後にもう1塗り。 良い感じに塗りあがりました。 ここから再度乾燥して表面を仕上げます。 最終的に養生を剥がし、ルーフ後方の角の部分などにクリアコーキングをして完了となります。


全ての作業が完了いたしました。 木本来が生きていたからこそ、ここまで復活出来たと思います。 木目もきれいに出て、見違えるように仕上がりました。 状態によってはこんな感じに復活できる場合もあります。 ウッドが悪くなる前にリペアをお勧めします。