車検でお客様の車を預かった時の事です。
車を移動するので乗った時に、ブレーキの効きがおかしい!?
ペダルが奥まで入ってしまう。
移動した地面をみるとブレーキフルード(ブレーキ用のオイル)が漏れた後が・・・。
リアのブレーキ(ドラム)の部分からフルードが漏っています。
これはマズイとブレーキを開けてみると・・・。
まずは、下の写真をご覧下さい。


上の写真がフルードが漏る原因となった部分です。
ホイールシリンダーと言い、ドラムブレーキの中でブレーキを効かす為のピストンにあたる部分。
左の写真が実際にダメで外した部品、右が新品部品の写真です。
内容の説明の前に、簡単にドラムブレーキの仕組みを説明します。
下の図をご覧下さい。


ドラムブレーキは、ドラムの中でブレーキシューを押し付け、その摩擦力で制動をかけます。
上の図は簡単な仕組みですが、ブレーキペダルを踏むと油圧(ブレーキフルード)が
ホイールシリンダーへと伝わります。
ホイールシリンダー(上図、ピンクの部分)はピストンになっており、油圧で赤矢印の方向へ
ピストンが押し出されます。
ピストンはブレーキシュー(上図、青い部分)を押し広げ、シューが外側のドラムに押し当てられます。
シューの外側にはライニング(上図、緑の部分)という摩擦力の強い材質の物が張られており、
ドラムとの摩擦でブレーキがかかる仕組みとなっています。
今回、フルードが漏ってしまったのは、ホイールシリンダーのピストンの部分の劣化が原因。
ここからフルードが漏ってしまい、油圧が逃げてしまうのでブレーキが効かなくなっていました。
さらに、他にも原因が・・・。
下の写真をご覧下さい。


左側が外したシュー、右は新品のシューです。
違いが解りますか?
左側のシューは、ライニングが無くなっているのが解ると思います。
全部使い切ってしまい、ライニングが無い状態で使っていたのです。
結果、シューの鉄の部分とドラムの鉄の部分が当たっていた形となり、削れてしまっているのです。
もちろん、シューがこれだけ削れていると言うことは・・・。


ドラム側も見事に段つきに削れています。
乗っていてかなりキーキー鳴っていたはずなのですが、あまり気にせず乗っていたそうです。
結局、ドラム、ブレーキシュー、ホイルーシリンダーと交換になってしまいました。


通常、ホイールシリンダーはオーバーホールが出来ます。
車検毎には必ず、出来れば1年に1度は点検したいですね。
オーバーホールKITで済めば易くあがるのですが、交換になると金額もあがってしまいます。
また、フルードが漏ってしまうと、ブレーキシューもダメにしてしまうので、
更に高くなってしまいますね。
エンジンが掛からなければ走れませんが、走って止まれないと事故にもつながります。
足回り、ブレーキ関係は、早め早めに点検しましょう。


PS ホイールシリンダーのオーバーホールについては、「どうしてだろう?」コーナーの
   「ホイールシリンダー点検」で紹介しています。
   参考にご覧になって下さい。