わずか1570台しか生産されなかったMK−3のクーパーS。 生産は短い期間で終了してしまいましたが、クーパーSの完成形といえる車輌。 今回紹介する車輌は、ボディ・機関ともに仕上げ済みの1台。 熟成された1275Sエンジンはトルクフルに回り、ハイドロ・サスペンションによるシットリとした足回り、そしてガッチリと効くブレーキ。 飾っておくだけでなく、乗って走る事が楽しくなるクーパーSでしょう。



1275ccの排気量を持つSエンジン。 1964年に登場し、少しずつ改良が行われていきました。 1275S最終モデルとなるMK−IIIでは、スムーズ且つトルクフルに感じられる。 低い回転からでも何のためらいも無く加速していく。 始動直後の暖まりきるまでが多少気を使うものの、暖まってしまえば気難しさは全く無い。 また、エンジンのアクセルに対するレスポンスは最高で、まるで右足にエンジンが直結しているかのようなダイレクトさ、そして、鋭く吹け上がるとても気持ちの良いエンジンである。 さすがに4速で40km/h以下になるとツライが、そこで3速に落とせばスムーズに加速していく。 4シンクロ・ミッションもとても扱い易く、シフトフィーリングも文句なし。 どのギアでもスムーズなシフトチェンジが可能。 ただし、暖まってくるとリーモト・ミッション独特の1速が多少渋くなるが許容レベル。 町乗りから峠まで走る事が楽しくなる、まさにクーパーSのキャッチである「走るパワーユニット」という言葉がピタリとはまる車輌である。



MK−IIIとなり、クーパーSにのみ装備されたハイドロ・サスペンション。 その乗り心地は独特で、ゆったりとしていながら、それでいてシッカリと粘る足回り。 ミニ独特のラバーコーンによる感じとは全く違う特性。 本来、ハイドロ車にはショックアブソーバーは付いていないが、この車輌は、フロントにショックアブソーバーを装備。 これにより、サスペンションのシッカリ感は良くなり、スポーツ走行時の安定度は上がっている。



ブレーキ・サーボを装備したこの車輌は、初期からシッカリと制動力が出てブレーキに対する不安は全く無い。 スタンダード・クーパーの7インチディスクから7.5インチに拡大され、更にクーパーSではサーボを装備する事により、タッチ、フィーリングともに抜群。 低速から高速まで安心して使えるブレーキである。 MK−IやMK−IIと比較しても良く効くブレーキである。



キーを捻りエンジンをかけた瞬間から聞こえてくる音はクーパーSならでは。 小気味良い排気音が響き、走り出せばエンジン音、ミッションからの駆動音が現行のミニとは一味も二味も違う。 同じRC40マフラーを付けても、クーパーSと同じ音にはならない。 MK−IIIならではの車体の軽さ、そしてリジットマウントされるサブフレームのお陰で、ステアリングに対するレスポンスも最高。 まさに走る為に生まれてきた車輌。 勿体無がらずに、日常の足からイベントやツーリング、そしてサーキット走行まで、是非、走らせて楽しんで頂きたい車輌である。

この車輌の詳細は、「1970y BL MINI COOPER 1275S」で紹介しています。 そちらもご覧になってみて下さい。