クーパーSの中でも完成形といえるMK−3の1275ccエンジンは、MK−1・2の1275Sと比べてもトルクがあります。 過去にオーバーホールを行っているこのエンジンは、低回転から力強く吹け上がり、現在の1300ccエンジン(1271cc)とは比較になりません。 今回、整備するにあたって、燃料系では、キャブレターをフルオーバーホール。 キャブレター本体、マニホールドはサンドブラスト処理で仕上げました。 燃料タンクからキャブレターまでのパイプも6mmから8mmへ変更し引き直し、レギュレーターで燃圧を調整しています。 また、ブレーキ・クラッチの油圧系も全てオーバーホールを行い、ブレーキラインには腐食が見られたので、ブレーキラインは引き直しています。 ブレーキ・クラッチのフルードには、レストアしたボディの塗装を痛めない様、価格は高いのですがシリコン系のフルードを選択しました。 もちろん、点火系のパーツは交換し、点火タイミング、キャブレターのセッティグもばっちり行っています。
キャブレター フルオーバーホール&サンドブラスト処理
フューエルレギュレーター取り付け・燃圧調整
フューエルライン引き直し(6mmから8mmへ変更)
サーモスタット&ガスケット交換(サーモ82度)
クラッチフォーク&プッシュロッド&スプリング&ピン&ステー交換
クラッチレリーズシリンダーASSY交換
クラッチマスターシリンダー オーバーホール
ブレーキマスターシリンダー オーバーホール
ブレーキサーボ オーバーホール
ブレーキライン引き直し
ブレーキ&クラッチフルード交換(オメガシリコン)
イグニッションコイル交換
ディスキャップ&ローター&ポイント&コンデンサー交換
プラグコード&プラグ交換
ロッカーカバーガスケット&ブッシュ交換
オルタネーターステー交換
アクセルワイヤー交換
シフトレバーグロメット交換
ロッカーアーム点検
バルブクリアランス調整
点火時期調整
キャブレターセッティング

液体の動きによって姿勢を制御するハイドロラスティック・サスペンション。 MK−3では、クーパーSだけに与えられた装備です。 サスペンションでは、ハイドロのディスプレッサー(ラバーコーンの代わりに、液体に圧を送る部分)の点検から、ハイドロ液の補充、そして車高調整を行っています。 フロントサスペンションのボールジョイントは左右交換し、ハブベアリングは分解して点検・交換、グリス入れ替えしています。 ブレーキキャリパーは分解しオーバーホール、ブレーキパッドにはフェロード製を選択しました。 リアサスペンションでは、ベアリンググリスの交換とベアリング用のオイルシールを交換。 片側のハブに多少の磨耗があった為、ハブASSYを交換しています。 ハイドロ車特有の突き上げ感のないサスペンションとブレーキサーボによってしっかりと効くブレーキがクーパーSの良さを引き出しています。
フロント ボールジョイント左右交換
フロント ブレーキキャリパー左右オーバーホール
フロント 右ハブベアリング交換
フロント 左ハブベアリングオイルシール&グリス交換
フロント サスペンション分解・点検
フロント ブレーキパッド交換(フェロード825A)
リア ハブベアリングオイルシール&グリス左右交換
リア 右ハブASSY交換
リア Pバルブ交換
リア ブレーキ点検・調整
リア サスペンション分解・点検
ハイドロ機構点検・液補充
4輪車高調整

ほぼ、オリジナル状態のインテリア。 初期のMK−3はセンターキーでした。 ディーラー車の証でもあるKm/h表示のセンターメーターは、走行34000km。 現在、ステアリングはモトリタのウッドステアリングが装着されています。 また、シートはパディ・ホップカーク製のバケットシート。 このシートもレアな1品です。(ノーマルシートもあります。) フロアカーペットを捲っていただいても、錆び一つないキレイなフロアは一見の価値ありです。 ステアリング、タコメーターは現在どうしようかと思案中です。
モトリタ ウッドステアリング
パディ・ホップカーク リクライニングバケットシート×2
パディ・ホップカーク アルミアクセルペダル

全て裸にしてフルレストアされたボディは新車以上の仕上がりで、とても言葉では言い表せません。 もちろん、錆び一つありません。 エンジンルーム、トランクルーム、前後サブフレームに至るまでビッチリと仕上げてあります。 ボディカラーはMK−3純正色のグラシア・ホワイト。 少し青み掛かったキレイな白です。 フロア下も錆びや歪みもなく、仕上げの良さが解ります。 また、ボディのチリ合わせや、パネルの合わせ目なども出来るだけオリジナルに忠実になるよう仕上げてあります。 現在の交通法規に合わせてサイドマーカーを新規取り付けし、ミラーはどうするか悩んでいます。
ボディ総ばらしフルレストア
サイドマーカーNEW取り付け
バックランプ用ステー作成&取り付け
サイドブレーキ シーリングプレート取り付け
前後サブフレーム フルレストア

整備中の写真を何枚か掲載しておきます。 整備の様子は、「ただ今、仕事中」コーナーの「MK−3 COOPER−S」で紹介していますので参考にご覧になって下さい。

MK−3のクーパーSの生産台数は、わずか1570台。 生産時期も1年と短く、クーパーSの中でも希少モデル。 その中でも、初期に生産された1台です。 初期のMK−3は、センターキーやトランクハンドルがMK−2と同じなど、詳細が少し違っています。 この車は、当時のディーラーである日英自動車によって日本に輸入されました。 ボディは徹底的にレストアを行い、細部までこだわって仕上げ済み。 希少MK−3クーパーSの中でも、ここまで仕上げられている車は少ないでしょう。 写真で紹介するより実車は間違いなく雰囲気もあり、ご覧いただければ納得していただけるはず。 是非、一度ご覧になって下さい。 本当に素晴らしい仕上がりです。

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