前回のラストに書いたように、まずはオーバーホールとは別の部分の作業から紹介します。

今回、エンジンを降ろすにあたり、エアコンは取り外す事になっています。 エアコンを取り外し、メーター回りもセンターメーター化を行います。 ノーマルメーター、クラッシュパッドを取り外し、下の写真(左上)のように、クラッシュパッド取り付け用の穴埋めを行います。 これは、ダッシュレザーを貼り付け(下の写真、右上)を行うのですが、後々に穴が開いたままだとレザーに跡が出てしまう為。 ダッシュレザーも既成の簡単に貼れる物ではなく、一枚のレザーから丁寧に形を合わせながら貼り付けていきます。 既製品と比べると仕上がりは段違い。 センターメーター用の配線を行い、メーターカウル、各メーターを取り付けます。 写真では(下段2枚)解りにくいのですが、今回はメーターもセンターメーターKITの物は使用していません。 まず、スピードメーターはMK−I用の新品メーターを使用。 水温計&油圧計はスミスの機械式をセットアップしています。 水温、そして油圧の管理をしっかりと行うには、機械式メーターは外せません。 特にチューニングカーなら尚更です。 
 


更に、今回はインジェクション〜キャブ化を行いますので、それに付随する作業も行います。 まず、燃料ポンプはミツバ製に変更(左下)。 これはインジェクションとキャブで燃圧が違うため。 インジェクション用ポンプにレギュレーターを付け燃圧を落とす方法もありますが、ポンプの信頼性が低い、故障時の部品代が高いので、ポンプは変更しています。 右下の写真は、エアコンを取り外した穴をプレートで塞ぎ、そこにライトリレーや電装関係のパーツを取り付けています。 また、インジェクション用の不要な配線は取り外し、新たに配線を引き直す必要があります。
 

ここで、エンジン作業に戻ります。 まずミッション。 PART3の最後で紹介したデフまで組み込み完了です。 ちなみにミッション、デフ関係はノーマルで組み上げていますが、オイルのピックアップパイプはセンターに変更しています。 ノーマルのピックアップはミッションケースの右端からオイルを吸い上げており、サーキット走行等で左側へGが掛かった場合、偏ったオイルを吸い上げられなくなります。 高速コーナー(右コーナー)を走っていると、Gによりオイルが吸い上げられなくなり、油圧計が「0」まで落ちてしまいます。 それを防ぐ為にセンターからオイルを吸い上げるようにする為のパーツがセンターピックアップパイプ(右下、赤矢印の先)です。
 


いよいよ、ミッションとシリンダーが合体します。 キッチリと規定トルクで組み上げ、クランクにはプライマリーギアを取り付け。 クランクの右下にはハイキャパのオイルポンプが取り付け済みです。
 


左下の写真はデフの先に付くインナージョイント。 こちらも一度分解し、内部のグリスを詰めなおし再度組み付けます。 右下は左右とも取り付け済みの写真です。
 


続いてクラッチのハウジングケースを取り付けます。 クランクのオイルシールは新品に交換。 この部分は熱による負担も大きく、オイル漏れを起こしている車輌も多い場所です。 ハウジングケースを固定しているボルトに付くロックタブ(ボルトの緩み防止)も新品を使用します。
 


ここで、カムのタイミングを計測するプレートを取り付け。 規定値でタイミング調整を行います。
 


その後、PART3でオーバーホールしたヘッドを組み付けます。 今回、バルブリフターはミニスペアーズ製のハイリフト(レバー比1.5:1、ノーマルは1.3:1)に変更(左下の写真)。 ハイリフトとは、レバーの支点を変更し、より長くバルブを押し下げる様になっている物。 これによりバルブの開いている時間が長くなり、より多くの混合気が燃焼室に入るようになります。 また、ヘッドはシリンダーを加工し11スタッド化(右下写真の赤い矢印の先が追加したスタッド)しています。 パワーの出たエンジンに対し、よりシッカリとヘッドを固定する為の物です。 クーパーSは純正で11スタッドとなっています。 スタッドボルトもARPの強化スタッドを使用しています。
 


今回、クラッチ関係は旧タイプに変更します。 これは、高回転時に旧タイプクラッチの方が軽く、負荷が少ない為です。 ミニスペアーズ製軽量プレッシャプレート、ウルトラライト・フライホイール、カバーは強化カバーを選択。 ディスクプレートは旧タイプのノーマルです。
 


下の写真はメイクロゲージを使用し、バルブのリフト量を計測している時のもの。 ハイカム+ハイリフトの組み合わせは、注意しないとバルブを押し下げ過ぎてしまいます。
 


残りの補記類をセットアップしていきます。 まずはスターター。 スターターは「事件です」コーナーでも紹介したように、フライホイールのリング剥がれを防止する意味も含めてレーシング・スターターを使用します。
 


残りの補記類も組み付けていきます。 ウォーターポンプは新品に交換、ファンブレードも変形があったので新品にします。 クラッチハウジングのカバーを取り付け、フォークレバー等も取り付け済み。 ヒーターコックは旧タイプに変更です。 さぁ、いよいよエンジン搭載となります。
 

次回はエンジン搭載からエンジンに火が入るまで紹介したいと思います。