前回の予告通り、パーツの取り外し作業から紹介します。 全てのパーツを外し、ボディのみにして板金作業に入る事となります。 では、作業の様子をどうぞ。

始めに一番大きなパーツでもあるエンジンを降ろしました。 細かい部品(ライトやウインカー等)も取り外されています。 エンジンを降ろすと、キャブBOXの取り付けが良く解りますね。 ブレーキやクラッチマスターなどの補記類はまだ残っています。 この後、キャブBOXは取り外し、メーター裏の部分は作り直す事となります。


そして、こちらが降ろしたエンジン。 このエンジンはレーシング仕様となっている為、別なCOOPER−Sから移植する事となっています。 もちろん、載せかえるエンジンはシッカリと組み上げて搭載する形になります。


もう少し、エンジンルームを見てみましょう。 写真では、マスターシリンダーは取り外し済み。 右側のインナーフェンダーは大きく切り取られ、左のラジエター側も、電動ファン前のスリット部分は切り取られています。 もちろん、ここは新しく造り治す事となります。 バルクヘッド部分は、腐食や錆びも少なく良い状態ですね。


トランク内では、燃料タンクが降ろされました。 左上の写真、赤線で囲んでいる部分は、安全タンク(レース用)のものを設置した際の逃げです。 トランク内全体では、それ程ひどい腐りはないですが、錆びは出ていますね。


続いて室内です。 室内も全てのパーツを外していきます。 メーター回りはもちろん、各スイッチ類や配線なども取り外し。 写真ではロールバーがまだ残っていますが、この後取り外します。 ドアポケット内や、スライドガラスのレール取り付け部も細かい錆びはありますが、酷い腐りは無いです。


その他の部分としては、左の写真のように燃料タンクの首が出る穴の部分。 ここは、レーシングカーになっていた為に、アルミプレートで塞がれていました。 プレートは取り除き、リベットの穴は全て埋める形となります。 また、トランクフードもFRP製の物をキャッチで留めていたのですが、フードはノーマルに戻す為、キャッチの穴は埋めていきます。 右の写真はフロアですが、歪みも無くキレイな状態ですね。 ここは、少しの手直しで済みそうです。


ここでいきなり違う車輌が出てきて驚いた方もいるでしょう。 実は、今回の作業では、もう1台のクーパーSから使える部品を移植する事となっています。 下の写真が、ドナーとなるクーパーS。 まずは、エンジンを降ろし、エンジンの状態を確認していく事となります。 このクーパーSもディーラー車であり、部品取りに使うなんて贅沢な話しですね。


部品取り車から降ろしたエンジンを分解し、内部の状態を確認していきます。 貴重な「S」エンジンですから、状態が良いに越した事はありません。 ヘッドを剥がし、徐々に分解していきます。 ヘッドには、大きなダメージは無く、オーバーホールを行えば使えそうです。


続いて、ブロックとミッションケースを2つに別けます。 ブロック側を先に確認していくのですが、右の写真、赤丸の中が何か解りますか? プラスチゲージといい、組み付けた状態でのクリアランスを測る物です。 クーパーSのエンジンは、EN40Bという素材の、高価で特殊なクランクを使用しており、貴重なパーツでもあります。 クランクは測定結果により、大きなダメージも無く、問題なく使えるでしょう。 一安心です。


さらにブロック側をばらしていきます。 リフターやカムは、すぐに交換できる部品なので心配はしていないのですが、一番の大物であるシリンダーブロック、ここが使えるかどうかで大きく変ってしまいます。 コンロッド、ピストンを取り出し、ブロックを丹念に調べます。 ブロックには割れやクラックなどの大きな損傷はありませんでしたが、シリンダー内部にはかなり傷がある事、そして段差も出来てしまっている事から、ボーリングは必須。 しかし、ボーリングを行えば、活かせるので少しだけ安心しました。


最後にミッション及びデフ回りの確認を行います。 もちろん、ミッション、デフ共にこれからバラすのですが、この状態でガタもあり、交換部品は多くなってしまいそうな予感。 製造から35年という年月を感じます。

作業としては、まだまだ現状確認といった状態。 次は、ミッションをバラした状態での確認、そして、エンジンの細かい詳細、さらにボディワークをお伝えしようと思います。 もう暫くお待ち下さい。