さて、前回PART2の最後で説明している重要な違いの部分。 左がMK−I仕様、右が本物のMK−I。 写真でごらん頂いても判る様に、右側のMK−Iは、赤い矢印の部分が盛り上がっています。 MK−I仕様を作成する場合、テールレンズ取り付け部にプレートを溶接して穴のサイズを変更するのですが、そのプレートには本物同様の盛り上がりが無いのです。 言われなければ気づかない部分でもあり、知らない人も多い事でしょう。 今回は究極を目指していますから、ここも忠実に再現する必要があり、そこでバックパネルの移植となったのです。



では、作業の方へ戻るとしましょう。 前回で紹介したドア、骨格は紹介したとおり仕上げ、外側のスキンを取り付ける前に入れられる色は入れておきます。 これは、どうしても完全に形にしてからでは細かい部分に塗料が入っていかない為。 その後、外側のスキンを取り付け再度塗装。 これでドアの内側は完成となります。 外側の塗装は、ボディと一緒に塗るために、今は未塗装。 しかし、溶接をしたり熱が加わった部分は直ぐに錆が出てしまう為、錆び止めのサフェーサーを入れています。



ここから、同時にボディ側の作業も行っていきます。 まず右のフェンダー、ドアの取り付け部から。 写真はパネルが剥がされた状態のもの。 何故、ここまでパネルを剥がすのか? やはり、そこにはMK−Iとのパネル形状の違いがあるのです。



下の写真をご覧ください。 左が高年式のミニ、右がMK−Iです。 多くの方が知っていると思いますが、MK−Iはドアの外側にヒンジ(アウターヒンジ)が付いています。 しかし、違いはヒンジだけではありません。 ドア前方下部を良く見てください。 高年式のミニはドア下が直角に近い形状をしていますが、MK−Iの場合、丸みを帯びた形状(下側のヒンジの下)をしています。 その為に、ドア形状はもちろん、ボディパネルの形状も違っているのです。



その問題をクリアするために、解体車からパネルを切り取り移植を行うこととしました。 下側のアールだけを作るのなら簡単なのですが、ドアを開けた部分の形状等も違うため、本物のパネルを移植することにします。 写真は解体車から切り取ったパネルです。



上のボディパネルをボディにあてがった状態のカット。 もちろん、すんなりと付く
はずは無く、削ったり、叩いたりという事を繰り返し微調整を行っていきます。 最終的には右の写真のように外側にスカットルパネルが被さる形になります。 また、写真では判りにくいのですが、ボディを切り取る際に歪まない様、十字に補強を入れています。 左の写真で判りますか?



作業は進み、上の写真で紹介してる部分の板金が終了。 また、作業に合わせてフロントフェンダーは剥がしています。 この後、フロントフェンダーは新品に交換となります。



細かい部分も見てみましょう。 アウターヒンジはモチロン本物。 今回アウターヒンジは、アルミ製のヒンジSETを使用しています。 右の写真を見ると、スカットルパネルの裏側には、アウターヒンジ用の補強が入っているのが解ります。 この部分は、ノーマルのMK−Iと同様ですが、別な部分で補強を入れていたりします。 それは後の作業で紹介しましょう。 スカットルパネルが赤いのや、グレーに吹いてあるのはサフェーサー(下地剤)。 生の鉄は直ぐに錆が出てしまうので、錆の防止です。 全体の作業が時間のかかるものだけに、こういった部分の錆び止めの処置は重要。 キッチリとした処置を行いながら作業を進めていきます。



すんなり付いたように感じるMK−Iドアですが、これからがまだ大変。 ドア前側の形状はクリア出来ました。 しかし、下の2枚の写真をご覧ください。 ドア後ろ、そしてドア上側に隙間が開いています。 それだけ高年式のミニとMK−Iではボディ形状の違いがあるのです。 これを全てクリアしていかなければなりません。



その問題の1つを、解決するのが左の写真。 MK−2より切り取ったルーフです。 つまり、形状が違うのですから、形状が同じルーフにしてしまえば良い訳です。 もちろん、切り取って付ける訳ですから、補強やその他の処置など大変な作業である事は間違いなおのですが。



ちなみに、ドアを中から見るとこんな感じ。 まだまだ課題が多いです。 次回は、左ドア側の作業。 上で紹介したルーフは最終段階になります。 それではPART−4へ。