MK−I仕様を作成したい方へ 

当店では、展示車やユーザーの車輌も含め、頻繁にMK−I仕様の車輌を作成しています。 「自分のミニをMK−I仕様にしたい」「購入時にMK−I仕様で希望の仕様に作って欲しい」と思われている方も多く、問い合わせも良く頂きます。 そこで、今現在、MK−I仕様を作成している所なので、その作業を紹介しながら、MK−I仕様を作りたい方への参考になればと思っています。 それでは、じっくりと見てみて下さい。

一口にMK−I仕様と言っても、色々なやり方、こだわり方があり、それによって細かい部分の作成方法が変わってきたりもします。 また、MK−I仕様にもシンプルなものから派手なラリー仕様まで、色々な仕様・形もあります。 一般的にはMK−I仕様というと、フロントグリル周りの変更、そしてリアテールレンズ周りの変更を行なっている車輌であり、そこから追加作業を内容に合わせて行なうパターンが多いですね。 下の2枚の写真のように、フロント/リア共にMK−Iスタイルにするには板金加工作業が必要となります。 今回の作業を追いながら紹介していきたいと思います。



まず、一般的なMK−I仕様を作成する部分に付いて紹介しましょう。 グリル周りでは、MK−2以降〜最終型のミニまでは、左の写真のような角ばった形をしたグリルが取り付けられています。 グリルの中のバーの本数に違いはあれど、基本形状は全て共通。 グリル上側の部分と両サイドの部分は、全て同じ部品となっています。 まずは、このグリルの形状をMK−Iと同様に変更していきましょう。



グリルに関連する部分となるのですが、フロントのボンネットに注目。 赤丸で囲んだ中、ここはグリルのアッパー部分を固定する為にツバが付いています。 上で紹介している写真を見ると解るのですが、MK−Iのボンネットはツバがありません。 そこで、まずこのツバを取る事となります。



次にフロントパネルになるのですが、ここにはグリルを固定する為等の大きな穴がいくつか開いています。 MK−I仕様にすると穴は不要になるのと、グリルサンズ(グリルの縁の部分です)の形状がMK−2以降と違う為に、そのままでは穴が見えてします。 そこで穴埋めを行ないます。 黄色く見える部分に穴があるのですが、全ての穴を埋め整形していきます。 その部分には、後ほどグリルサンズ(グリルの縁)が付く形になります。



続いて、フロント周りで同時に作業を行なう部分として、フェンダーの穴埋め作業があります。 これは、必ずと言うものではなく、オーバーフェンダーを付ける方も居ると思うのですが、MK−I仕様というと、フェンダーレスに仕立てる方が多いですね。 今回、作業を行っている車輌もフェンダーレスにて仕立てています。 高年式のミニは標準でオーバーフェンダーが付いていますので、取り外した際の穴が残ってしまいますので、その穴埋めを行なっています。 写真の色が変わっている部分は、穴埋め後錆び止めと下地剤であるサフェーサーを吹き付けてたところです。



続いてテール周りの紹介に移ります。 MK−I仕様の特徴でもある小ぶりなテールレンズ。 これはMK−Iだけの物であり、仕様を作成するには欠かせない部分でもあります。 ただ、MK−Iテールレンズを固定するには、少し板金作業が必要となります。 左上の写真、赤線で囲っている部分なのですが、本来は赤線の大きさの穴が開いています。 そのままでは、テールレンズの取り付けが出来ませんので、右上の写真のプレートを溶接して取り付けます。 これにより、MK−Iテールレンズを取り付けることが可能となるのです。 ここで、一つ気をつけたいのが、右上のプレートには鉄製のものと、FRP製(強化プラスティックのようなもの)のものがあり、取り付ける場合には鉄製をお勧めします。 FRP製のものは、取り付けをするのにパテで固定するしかなく(鉄とFRPは溶接できません)、完成直後はいいですが、使用しているとクラックが入りやすく、せっかく仕上げた車輌が長持ちしない場合が多いです。 MK−I仕様のミニを見ると、意外とクラックが入っている車両が多いのですが、そういった車輌はFRP製のプレートを使用している車輌がほとんどです。 特にミニは振動も多いですから、ここは鉄製のプレートをしっかりと溶接で固定する事をお勧めします。



もう一つ、リア周りで大きく変更するのがトランク。 トランクでは、ライセンスランプの大きな穴も含め、板金穴埋め加工が必要となります。 特に元のライセンスランプを固定する為の穴は大きいので、シッカリとした方法で埋めないと、後々にクラックの原因になるので気をつけてください。



ここまでは、基本的なMK−I仕様を作成する部分になります。 以上の点を踏まえながら、実際に今当店で仕上げている車輌の作業を紹介していきます。 それでは、作業の紹介に移りたいと思います。

ベースとなった車輌は1991年製キャブクーパー。 今回は、この車輌をベースにオースチン・セブン仕様で仕立てていきます。 まずは、上で紹介している通りのグリル周り、そしてフェンダーの穴埋め作業。 必要の無い穴を埋めていきます。 黄色く見える部分は、最終の整形の為に薄く塗ったパテ。 ここから極力削り落としていきます。



上の写真で気付いた方も居ると思いますが、今回の車輌は追加で加工作業を行っています。 それがドア下の加工。 本来、MK−3以降のミニは、この位置が角ばっているのですが、それをMK−Iと同様に丸加工しています。 この違いに付いては「究極のMK−I仕様」でも紹介していますので、是非そちらもご覧下さい。 写真は。ボディ側を加工した部分。 予算の応じてやり方もあるのですが、今回の方法は外側に一枚鉄板を増やし、ドアの加工にあわせる形を取っています。



そして加工したドアが左の写真。 角を切り落とし、MK−Iと同様に丸加工しています。 これだけでも雰囲気は変わりますね。



続いて、リアも少し紹介しましょう。 まず、MK−Iテールを取り付けるためのプレート、こちらを溶接してボディに取り付けします。 左の写真で見える黒い部分が取り付け用のプレートです。 上で紹介している鉄製の物をしようしています。



外側は左の写真のような感じ。 茶色に見える部分は最終的に整形するためのパテ。 これもここからドンドン削り、なるべくパテが無い状態を作っていきます。