AUSTIN 1300GT仕上げ中

ミニを生み出したBMCが1962年から1974年まで発売していたADO16シリーズ。 バンデンプラス・プリンセスは耳にする方も多いと思いますが、BMCグループの6ブランドから発売されていました。 先ほどの「バンデンプラス」「モーリス」「オースチン」「ライレー」「ウーズレー」「MG」の6ブランド。 当初1100ccでスタートしたADO16もマイナーチェンジを受け1300ccへとなります。 その中で1971年にMK−Vへと進化したオースチンの中で黒いグリルにレザートップ、ツインキャブエンジンなどで少しスポーティな味付けとされたのが1300GTです。 個人的に1300GTは好きな車でもあるのですが、約30年ほど前に程度の良い車輌を1台扱っただけでした。 4ドアであること、同じADO16系でも特にスポーティな位置づけのモデルである事、ハイドロラスティックサスペンションによる乗り心地の良さ、取り回しの良いボディサイズなど、こういう車で気ままに何日もかけて旅行したいと思う車ですね。 今回オリジナルコンディションのこの車輌を手に入れられたので、しっかりメンテナンスして走らせたいと思っています。 それでは、作業の模様を紹介したいと思います。 またこの車輌に興味のある方はお問い合わせください。


まずは、イギリスから届いたばかりの車輌を隅々までチェック。 レザートップが今となっては新鮮なエクステリアです。 ノンレストアのボディは所々に錆はありますが、トータル的なコンディションは悪くはないですね。 レストアはしていませんが部分的に補修は過去に行われているようです。 また、フルオリジナルのインテリアも良いコンディションではあります。 トータル的なコンディションも悪くはない車ではありますが、今後長く楽しんでいただける様にするため今回仕上げ作業を行っています。 


現状でエンジンに火は入りますが、エンジンルームの状況からしても、長い時間かけずに仕舞われていたという感じではあります。 フロアなどはしっかりして良いのですが、サスペンションも回り錆や汚れ具合で動かしていなかったのが解ります。 ただ、全体のコンディションからは放置されていたという状況ではなく、しっかり屋根付きのコンディションで保管されていたのでトータル的には悪くはないですね。


では、実際の作業に入っていくことにします。 まずはエンジン。 現状でかかりますが、しばらく動かされていなかったという事もあり、まずは簡単に外せるシリンダーヘッドを外し診断。


カーボンは付いていますが、それほど全体としては痛んではいないですね。 バルブも研磨してシートカット、ガイド打ち換え、オーバーホールで大丈夫でしょう。


そしてシリンダー側。 この状態で見る限りでは多少の磨耗はありますが、大きなダメージはなさそう。 過去にオーバーホールは行っているようです。 ピストンは+30サイズのものが入っていました。 ただ、きっちりエンジンかけて確認をしてという状況ではないのと、最終的に永く乗って頂きたいというのもあり降ろしてオーバーホールすることを決意。 さっそくフレームごとエンジンを降ろします。


ばらしたエンジンを洗浄し、各部の状態を確認。 メタル類、クランク、カムなど確認しますが大きなダメージはありません。 しかし、ピストンをばらしていると・・


3番ピストンでピストンリング折れがありました。 しかしシリンダーの状態としては多少の磨耗はあるもののベリーグッドでした。 イギリス本国でしたら、あるいは日本でもこのまま確認しリング交換で済ませてしまうでしょう。 ですが、今後の事を思い最終結論として+40サイズにボーリング、ピストン交換でいく事に決定。


エンジンと平行して他の作業も進めていきます。 足回りのパーツや、フレームなどのパーツの錆をひたすら一生懸命落としていきます。 ここは本当に根気のいる作業です。 終わりの見えないような作業に苦戦しながら、少しずつでも前進。 こればっかりやっていると気が滅入ってしまうといけないので他の作業をしつつ合間をみては錆落としというような感じ。


毎日少しずつ錆落としをし、最終的に落とし終わり錆び止め剤を塗ったパーツの一部。 こうやって写真でパッと並べると直ぐに出来てしまったようですが、実際は何日も何日もかけての作業です。 あまり直ぐに出来たように出してしまうと作業した小林に怒られそうです。 「そんなに楽じゃないよ!」って。


そしてボディ側、こちらも「せっかくエンジン降ろしたので・・」となり、エンジンルームはキレイに仕立て治しが決定。 そちらの作業も平行して行います。

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