オースチン・ミニ ハーフレストア編

コンディションの良いMKー1を、丁寧にお客様のオーダーに答えつつ仕上げ作業を行っております。
エンジンオーバーホールやブレーキ/サスペンション回りのメンテナンスはもちろん、足回りのハイドロ化などの作業を行っています。
ここでは、作業の様子を順を追って紹介したいと思います。
どうぞじっくりとご覧くださいませ。


ベースとなったMKー1は1963年のオースチン・ミニです。 ここ20数年はガレージでずっと保管されていた車輛で、ボディはパネルのオリジナル度も高く、腐りなどはほとんどなくベリーグッドな状態です。 永らく動かしていませんでしたので、エンジン/クラッチ/ギアBOXは分解オーバーホールをし、ブレーキ回りなど各部をきっちりメンテナンスすればOKな状態ではありました。 今回、購入して頂いたお客様が足回りはハイドロ化したいという希望があり、各部を仕上げながらハイドロ化を行う形となりました。 写真で見て頂いても下回り等のコンディションも良いでしょう?


まずはエンジンを降ろし、ボディ側の作業を行っていきます。 エンジンルームのコンディションを見て頂いてもボディの良さは理解していただけると思います。



今回の作業の中で一番の肝?となるのがサスペンションのハイドロ化。 ラバーコーンからハイドロサスペンションに変更と一口に言っても、単純にその部分だけを入れ替えれば、、というものではありません。 大きな違いとしては上記の写真のサブフレーム。 この骨格部分がラバーコーンとハイドロでは形状がちがうのです。 まずはフレームを用意し、フレームの仕上げ作業を行い取り付けを行うという作業になります。



まずはエンジンルームの細かいところから。 新車から58年経過し劣化しているメインハーネスは新しい物に交換。 配線回りがキレイになることによって電気がしっかり流れ車の調子も良くなりますからね。 ハーネスと一緒にフューズボックスやリレーなども新たなパーツで仕上げていきます。



同時にエンジンルーム内およびフロア下部の作業を行っていきます。 サブフレームを取り付ける前に行う作業がありますからね。 ブレーキの油圧関係ではPバルブを交換。 もちろん、マスターシリンダー関係もこれから交換になります。 またフロア下部ではハイドロサスペンション化するためにハイドロ用の配管を設置。 ハイドロサスペンションはフロントとリアが片側ずつ前後で繋がっており、中を液体(クーラントを使用)が移動することによって前後の車高や姿勢変化を調性する仕組みとなっています。 そのために前から後ろまで長い配管で接続されるのです。 ハイドロの配管は新品を使用。



舵取り機構であるステアリングラックも新品に交換。 右ハンドル化をすることも可能ですが、お客様の希望が左ハンドルのままですので、そのままNEWパーツに交換します。 フロントのサブフレームもキレイに仕上げて搭載していきます。 写真が少し見難くてすみません。



同様にリアのサブフレームもキレイに仕上げ、車輛に取り付け。 ご覧のようにフレームの上側を配管が通りますので、先に配管の取り付けを行わないといけないのです。



このままハイドロサスペンション回りを組み上げていきます。 ハイドロのユニット(丸いタンク)からラジアスアームと組み上げていきます。 ラジアスアームは可動部分のシャフトやベアリングは組み換えオーバーホールしてからの取り付けです。



リアのドラムブレーキ回りの組み付け。 ホイールシリンダASSY、ブレーキシューなどももちろん新品に。 ホース類なども新品で組み付けしています。 ハイドロサスペンションはショックアブソーバーは本来付いていません。 フロントには追加で取り付ける事は可能ですが、リアには基本付きません。 リアはショックがなく、ヘルパースプリングというバネでサスペンションを引っ張ている形となっています。



ブレーキ回りを一気に仕上げていってしまいましょう。 エンジンルームではブレーキマスターシリンダーを新品にし、配管も新しく引き直しを行います。 もともと、この車輛にはローバー時代のブレーキサーボ付きのマスターシリンダーが取り付けられていましたが、エンジンルーム内の雰囲気やメンテナンスなども考え、今回はタンデムタイプのマスターシリンダーに変更。 フロントがディスクブレーキなのと、走りを楽しんだりしたいというお客様の希望もありあえてタンデムタイプを選択しました。 それに合わせ配管も作成しています。



フロント側もハイドロのユニットの組み付けを行っていきます。 フロントは組んでしまうとほぼ見えないのですが、、 エンジンルームのメッシュのように見えるホースがハイドロユニットのホースです。 ここがリアと先程のパイプでつながり、液体が前後に流れて姿勢コントロールをしているのです。 フロントサスペンション回りを組むにあたりロアアームやテンションロッドなどのブッシュ類や各ブーツ類、バンプラバーやハイドロブーツなど一通りは手を入れて新品で組んでいます。



タンク回りも続けて組み付け。 フューエルポンプは実績と信頼性も兼ねて国産のNISMO製の電磁ポンプへ変更。 フューエルホースなども新品に交換します。 またこの車輛はダミーツインタンクになっていたのですが、今回、本当のツインタンク化を行いました。 左右のタンクをつなぐ配管や取り付けブラケットなどを取り付けし、右タンクを設置。 これにより25リットル×2で50リットルのタンク容量となります。



メーター回りも配線を取り付け。 ステアリングなどはこの後の作業となります。 新しい配線はすっきりしますし、何よりつまらない断線や接触不良などのトラブル防止になるのがいいですね。


平行してエンジン/クラッチ/ギアBOX分解オーバーホールを行っています。 次回PART2ではエンジン編をお送りします。

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