今回は、オーバーホールを兼ねたチューニング編です。
1990年に発売された限定のキャブクーパーがベースです。
どんなエンジンに仕上がるのか、ゆっくりとご覧下さい。

まずは、エンジンを開ける前の状態から。
特に調子が悪い訳ではなく、サーキットを走ったりもしていました。
基本的にはノーマルで、エアクリーナー、LCB、マフラー交換という仕様でした。
多少、以前よりもパワーが落ちてきた感じがあり、オーバーホールとなったのです。
下の写真はサーキットを走った時のものです。


エンジンルームは、ノーマルだと下の写真の様に色々な物が詰まっています。
エアコンもあるので、なお更ですね。
限定車はグリル裏にはオイルクーラーも付いていて、補器類がいっぱいです。

いよいよエンジンを降ろす時が来ました。
以前から、「降ろす時は、ついでにチューニング」と決めていました。
一通り手を入れる予定ではいたのですが、パーツの多さにビックリです。
まず下の写真を。


今回、使用したパーツです。
細かいパーツ類で写っていない物もありますが、これだけ使用しました。
中身は、工程の説明と一緒に紹介していきたいと思います。

下は、エンジンを降ろされリフトに上げられている姿です。
まだエンジンルーム内に配線は残っていますが、ガランとしています。
時間があれば、エンジンルームをキレイにしたい所ですね。

続いて降ろしたエンジンを見ていきましょう。
まずはミッションから。
今回は、ミッションもストレートカットのクロスミッションに入れ替えます。
ミッッション自体は中古なのですが、半年ほどまえから持っていた物を使います。
これが後に頭を悩ます事となるのですが・・・。
ストレートカットとは、ギアの歯が真直ぐという事です。
ノーマルは斜めにカットされています。
以前にTOP−PHOTOで紹介したのがノーマルミッションです。
ストレートカットは力を効率良く伝えられるのですが、ギアの当たりが強い為に
減速時などはギア鳴りがかなり大きくなります。
知らない人が聞けば、壊れてる?と思われる様な音です。




ミッションは中古ですが、シンクロリングは新品を使用します。
それとオイルのセンターピックアップパイプ。
何をする物かというと、オイルの吸い上げ口をミッションケースの真ん中に持ってきます。
サーキットなどで片側に荷重が掛かっても、きちんとオイルを吸い上げられる様にする物です。
またデフはノーマルですが、ファイナルを変更します。
キャブクーパーはノーマルが3.1ですが、これを3.6に変更。
数字が大きくなると、加速重視となるのです。
下が組みあがったミッション。
金色のパイプがセンターピックアップです。

次はヘッドです。
今回選択したのは、リチャードロングマンのGT14というスペックの物。
街乗り重視なら、ここまでのヘッドは必要ないでしょう。
実は、このヘッドが6月のTOP−PHOTOに使った物です。
下にある写真の左がノーマル、右がロングマンです。
レーシングスペックなだけあって、バルブのサイズなどは全然違います。


左のノーマルヘッドは、かなりカーボンが蓄積されています。
実は、センターメーターになっており正確な距離は不明なのですが、
15万キロ近く走っているのではないか?という状態でした。
添加剤を入れていたので、多少は良かったのでしょうが・・。

そしてシリンダーブロックです。
ブロックの左に付いているのがウォーターポンプ。
ウォーターポンプは去年換えていますので、今回はそのまま使います。
右の写真はシリンダー内のUPです。
特に傷もなく、ボーリングはしないで済みました。
実は、彫らなきゃダメかとちょっとドキドキしていた部分でもあります。




中のピストン、クランクが下の写真です。
クランクにも傷はなく、問題なく使用できました。
メタル類は全て新品に交換します。




ピストンのUPを下に載せました。
ピストンに付いてるリングは新品です。
そして右の写真は、交換前のリング。
良く見ると、リングに段がついて磨耗しています。
このリングで圧縮を保っていますので、磨耗していれば圧縮が逃げてしまいます。
これだけ段があれば、かなり抜けていたでしょう。
パワー感が落ちたの原因の1つでもあるでしょうね。
リング交換だけでも、かなり力は戻ったと思います。




続いてシリンダーの下側からのカット。
カム、バルブリフター、メタルを新品に交換しています。
カムはKENT製の73度を選択しました。
街乗り仕様なら63度までの方が乗り易いでしょう。
また、カムの上にあるのがバルブリフターですが、
こちらもミニスペーアズ製に交換します。
軽量で、オイル穴が開けられている物です。




交換したバルブリフターを見てみましょう。
上の部分がガタガタと虫食いになっているのが解りますか?
本来、ここは平らになっています。
長年、カムに当たっていて、虫食いになってしまっていました。




それとオイルポンプ。
こちらも新品に交換します。
ノーマルではなく、ハイキャパシティの物を使用します。
ブロック横に付いているのがポンプ。
ポンプは新品でもそのまま使うとすぐダメになってしまう場合があります。
新品でも、内部をキチンと擦り合わせてから取り付けます。




それとカム交換に合わせて、チェーンもダブルに変更します。
このチェーンでカムを駆動しているのですが、ダブルにする事によって強化されているのです。
高回転でチェーンが伸び、タイミングが狂うの防止します。
高回転まで回すなら必要でしょう。

今回の最後はヘッド廻りとキャブ。
ヘッド廻りでは、プッシュロッド、ロッカーアームはノーマルを使います。
ローラーロッカーが欲しかったのですが、予算の関係で見送りです。
後でも入れられますしね。




キャブはWEBER製の45φを選択します。
リンケージ、インマニはジャンスピード製です。

今回は、ここまで。
15万キロ走行と予想されますが、思ったより状態は悪くありませんでした。
また、今回選択しているパーツ類は、街乗りには向かない物も多くあります。
サーキット走行をメインに考えた仕様です。
使用目的、予算などによっても仕様は変わります。
ただ単にパーツを付けるのではなく、バランスを考えましょう。
バランスが悪ければ只の乗りにくい車になってしますから。
完成後のインプレッションをお楽しみに。